「投資なんて自分には関係ない」と思っていませんか?
薬剤師というお仕事は、比較的安定していることが大きな魅力です
転職先も多く、業界自体も安定的
しかし、その安定性ゆえに、老後への備えを「貯金だけ」で行っている方が非常に多いと感じます
保守的な仕事や環境から、資産運用も超保守的という印象です
貯金だけでは老後資金が「目減り」する時代に
2020年までの、デフレ下の時代ではそれも一つの正解でしたが、これからの時代はインフレ時代
現在は物価が上がっていく時代に突入しています
物価が上がるということは、現金の価値が下がるということ!
貯金は毎年実質的な価値が目減りしてしまいます
たとえば…
- 物価が毎年2%上がると、100万円のものは10年後には121万円に値上がりします
- 一方、貯金は10年後もほぼ100万円のままです(高金利でも102万円程度)
物の価値が上がる=お金の価値が下がるため、貯金の100万円は、10年後には実質約80万円の価値になってしまうのです
つまり『現金をそのまま持っている=お金の価値が目減りする』ことを意味します
50代・60代の薬剤師の方は、すでにある程度の貯蓄や資産をお持ちかと思います
これからは、『金利・物価・税制』のどれを取っても、貯金だけでは足りない時代です。
薬剤師の仕事は安定していますが、老後30年をカバーする資金設計を考えると、
定期預金だけでは十分ではありません
『資産を守りながら増やす』バランスをとることが、今後の課題になります

FP(ファイナンシャルプランナー)で薬剤師の私が、50代から始める資産運用について解説します
全3回です!
【第一回】今こそ見直す!薬剤師が資産運用を始める前に知っておきたいこと
【第二回】薬剤師が知っておくべき『リスク資産の付き合い方』
【第三回】60歳からの資産運用 “取り崩し”を見据えたマネープラン
50代薬剤師の環境は
調剤薬局 50代薬剤師の年収
今回は、一律40年間または20年間、年収500万円を稼いだケースで見てみましょう
| 勤務年数 | 年収 | 年金見込み額 |
|---|---|---|
| 40年勤務 | 500万円 | 190万円 |
| 20年勤務 | 500万円 | 137万円 |
50代の薬剤師の年収は、環境によって大きく差があります
- 大手チェーンで働くマネージャー職(部長職):700万円以上、1000万円の方
- 調剤薬局の薬局長や管理薬剤師:600〜700万円
- 一般の薬剤師、パートからの社員:500万円台が多いと思われます
産休育休からカムバックで社員になった方は、このあたりの年収でしょう
40年勤務、20年勤務で年金はいくらもらえる?
年金見込み額は、厚生労働省の『公的年金シミュレーター』を使って試算してみます
【年収500万円 40年勤務】
年金見込み額は、年間190万円

【年収500万円 20年勤務】
年金見込み額は、年間137万円

もしこの二人が夫婦(夫:40年勤務、妻:20年勤務と仮定)の場合、夫婦の年金は年間327万円です
- 月額にすると: 27.25万円
- 手取り(社会保障費・税金控除後): 月額24万円くらい
(注:手取りは1割程度引かれると仮定)
老後資金、いくら必要?薬剤師家庭のシミュレーション
総務省の家計調査によると、65歳以上の無職世帯の平均消費支出は月26万円ほど
先ほど試算した夫婦[年収500万 40年正社員の夫、20年正社員の妻]の老後生活は
公的年金が月24万円とすると、毎月2万円の赤字です
退職後の生活が30年間続くと、2万円×12ヶ月×30年=720万円の不足です
ちなみに少し前(2022年)の情報ですが、生命保険文化センターの調べでは
ゆとりある老後生活費は37.9万円 とのアンケートがありました
もしここに焦点をあてるなら、13.9万円の赤字です
13.9万円×12ヶ月×30年=5004万円の不足と出ます
老後に何をしたいか、どのようにお金を使うかで必要額は大きく変わりますが、年金だけを頼りに老後生活をするのは難しいことがわかります
病気のリスクや突然の出費、遊興費なども考えると
この夫婦二人世帯の老後は2000万円の老後資産を作っておくと安心です
(月30万円の支出だと約2000万円の不足になる)
資産運用を始める前にやるべき『3つの見直し』
老後資金を作るとなると、まず資産運用が頭に浮かびますが
その前にやっておかなければならないのが『現状の自分の資産の把握=棚卸し』です
- 全ての銀行・証券口座と現金のを把握
株や債券がある場合は、今売ったらいくらかで計算 - 負債(ローン等)の把握
住宅ローン、カーローンなどの残債を算出しましょう - 物的な資産価値の把握
家や車、資産価値のある物の『現在価値』を確認しましょう
買った値段ではなく、今売るといくらになるか?が大事 - 退職金・年金の受取見込み
このまま勤め上げた場合の退職金、年金の見込額を確認しましょう
年金額は『ねんきんネット』で確認できます
退職金は確定拠出年金やiDeCoを抜いて計算します
棚卸しが終わったら『3つの見直し』を行います
- 生活防衛資金の準備
なんらかのトラブル(病気や怪我など)に備えるお金です
生活費の6ヶ月分(2人なら200万円ほど)を準備しましょう
通常使ってる預金や投資のお金とは別に、可能なら別口座で管理をするのがおすすめです - ローンの整理、借り換え
金利が高いローンがあれば安いところに借り換え
カーローンなど金利の高いものは早めに返済を行いましょう
住宅ローンは無理して返済する必要はありませんが、自身の資産がローンより多い状態を維持しましょう - 保険の見直し
子育てが終わった頃合いの50代は保険見直しのタイミングでもあります
生命保険、所得補償保険など、子育て期に活躍する保険は見直ししましょう
ダブルワークの状況なら、保険加入は最小限で済むはずです
まずは守る資産『安全資産』を知る
50代は取り崩しが近くなる年代です
ここでの資産運用で大事なのは、『リスクを取りすぎないこと』
増やすことより、リスクの少ない運用を目指します
資産運用の前に、リスクの非常に低い『安全資産』をおさらいしましょう
気を付ける保険、預金についても説明
ギャンブルにならない投資にする
多くの方が資産運用に踏み出せない理由は『手間』『わからない』そして
『減るのが怖い(リスクが怖い)』でしょう
しかし、リスクはコントロールができます
- 投資信託による分散投資
- 毎月定額積立
- 長期投資
- 運用金額
これらによってリスクを分散し、短期的な値動きに影響しなくて良い資産運用ができます
資産全体で見ることで、リスクはさらに軽減・コントロールができます
1000万円の資産があったとして、1000万円全部を資産運用したらリスクは大きいですよね
では、資産運用額100万円だったら?
運用が50%値下がりするとしたら、1000万円投資してたら資産全体は500万円になってしまいますが、100万円の投資なら全体は950万円で収まります
過去の株式投資信託では、20年以上の投資で年率5%のリターンが得られました
今後どのくらいのリターンになるかはわかりませんが、5%は十分見込めると考えられています
リスクを過度に恐れてリターンを捨ててしまうのではなく、リスクを上手にコントロールしてリターンを得ていきましょう
【まとめ】まずは『守り』から!始める資産運用
資産運用は、決して「お金を増やすためだけのもの」ではありません。
本来の目的は、老後の生活を安定させ、安心して暮らすための仕組みづくりです
過ぎたるは及ばざるが如し
リスクの取り過ぎは生活を崩しますし、リスクのと取らな過ぎは老後生活費を不安定にさせます
資産運用は自分にあったリスクで、バランスよく行いましょう
まずは3ステップで整理
1 現状の資産を棚卸しし、見える化
2 資産を3つの用途に分けて整理
・生活防衛資金
・生活費
・運用可能資産(投資信託・iDeCoなど)
3 運用可能資産は、リスクの取り過ぎに十分注意を!
50代の資産運用は守り重視です!
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