処方せん調剤主体の薬局にとって、収益効率が良いのは
処方内容が軽い処方せんを、たくさん受ける
手間が多い処方箋を少量受けるより
手間が少ない処方箋をたくさん受ける方が
少ない人員でたくさんの処方箋を受けることができ
利益率が高くなりやすいです
下記は各診療科ごとの調剤報酬です
診療科ごとの処方箋1枚あたり平均額がこちら
クリニックや病院によって、処方内容の重さはまちまちではありますが
私の所感としては
【処方が軽い】
・外科
・整形外科
・産婦人科
・眼科
【処方が重い】
・皮膚科
・小児科
私は以前、小児科は
大変で利益が少ない 揉め事が多い 避けたい科目
というイメージを持っていました
新卒の薬剤師や、時々小児科の処方を受けるだけの薬剤師は
同じイメージがあるんじゃないかと思います
小児科を中心に受ける薬局へ勤めてみて
困難なイメージが大きく覆りました
今回は小児科処方箋の影と光と題しまして
小児科薬局の抱えるお悩みから
小児科ならではの成長性、将来性
についてお伝えしたいと思います
何科の門前薬局で働くかで悩んでいる方
学生実習の実習先薬局で悩んでいる方
小児科が一つの選択肢になってもらえればと思います
でも結論から
小児科は小児科の面白さ、良さがあるよ!
調剤は設備次第だけど、そんなに大変じゃないよ!
【影】小児科調剤にかかる時間
シロップ剤は
薬1種に3分程度
混合してメスアップが必要な場合は、慣れていないともっと時間がかかります
粉薬は
1剤7日分につき 調剤と鑑査合わせて 2〜5分
- フロモックス細粒
- ムコダインDS
- アスベリン散
- ポララミンDS
- すべて1日3回で7日分
これらが全て別包なら
調剤開始から投薬まで、16分ほど
(Vマス分包機ならもっと早い)
これら全てが合包なら
調剤開始から投薬まで、10分ほど
(Vマス分包機ならもっと遅い)
これが、大人の錠剤なら
4種類の薬では5〜10分でお渡しができます
小児科の調剤にかかる時間は
散剤やシロップが入ってくると
大人の2倍程度、時間がかかります
これつまり
調剤にかかる労働時間が2倍ということ
同じ枚数の処方箋でも
整形外科と小児科では
薬剤師の人数+0.5〜1人必要になるでしょう
【影】分散する処方箋
町の小児科クリニックに罹る子供の多くは
急性疾患での受診です
風邪、マイコプラズマ、手足口病、溶連菌
インフルエンザ、胃腸炎、皮膚炎などなど
継続的な治療が必要な慢性疾患ではなくて
1回治療で終了になりやすい、急性疾患が中心です
急性疾患は
症状があって困っているその時に、受信できることが何より大事
風邪引いて発熱してるけど、3日後に受診しよう というわけにはいきません
症状出た時に開いている病院へ受診します
そのためかかりつけ医がお休みだった場合
その時開いている小児科や耳鼻科を利用することは珍しくありません
すぐに薬をもらいたいというニーズから
かかりつけ薬局ではなく、門前の薬局を利用することが多くなります
その結果、毎月安定した処方枚数を受けることは
小児科では難しいです
【光】家族全員とのお付き合い
小児科受診のお母様、お父様方と仲良くなりますと
家族ぐるみでのかかりつけになれることがあります
お子さん全員はもちろんのこと、ご両親、祖父母さんに至るまで
様々な方の相談を受けられるようになります
これ、薬剤師のやりがいと満足度めっちゃ高いです
お子さん達からも少しずつ覚えてもらえるようになったり
立ち上がれた、歩いた、話せた、会話ができるようになった
成長を見ていけるのと、ご両親とそういった会話ができるのもすごく楽しい!
両親祖父母も体調が悪い時があります
処方箋だけでなく相談してくださるようになると、そこもやりがい感じて嬉しいですよ
子供と大人では診療科、病院が違ってきますので
集中率を下げるのにも大きく手助けとなります
調剤基本料2や3を取っている薬局さんには
門前以外の処方箋が来てもらえるのって、すごく大きいと思います
基本料1になった場合
基本料2と3からだと 29点、24点、19点→45点
地域支援体制加算もとっているなら 10点→32点
あわせて38点〜48点の増加が見込めます
【光】お店の雰囲気が良くなる
これは意外だったんですが
子供が多い薬局って、雰囲気が良いです
鳴き声大合唱な時もあるんですが
大人だけの薬局で混雑してる時より
子供がいて混雑してる時の方が、雰囲気が明るい
子供同士で遊んだり
母親同士で会話できたり
お年寄りの方々が、子供見て和んだり
待合室が地域のコミュニティサロンみたいになってることもあります
待ち時間が長いとイライラしちゃう方も
子供達が遊んでるのを見て和んでたりします
薬局の雰囲気って、患者さんにもスタッフにも影響しますから
そこが明るく良くなるのって、とっても大事です
【光】地域支援体制加算の要件『医療的ケア児』
地域支援体制加算の項目の一つ
小児特定加算
医療的ケア児に対して薬学的管理と指導等を行った時に取れる加算です
医療的ケア児は
日常的に医療的ケアが必要な子供のこと
重症の度合いは子供によって異なり
点滴で生命維持している子もいれば
内服が可能な子もいます
本人だけでなく、家族への負担も大きく問題になっています
医療的ケア児の調剤は結構重ため
脱カプセル、粉砕の調剤があったり
生理食塩水などが大量に必要になったり
無菌調整では、キット製剤の中身を抜いたり足したり
継続的なケアが必要な患者さんだけでなく
負担が大きく疲弊しやすい家族のために
医療的ケア児への調剤はとっても大事なことです
そのための調剤加算が『小児特定加算』です
地域支援体制加算の要件の一つに追加され
医療的ケア児を受け入れる意義が益々高まっています
少し難度の高めなイメージの医療的ケア児の調剤ですが
小児科中心の薬局にとっては、一気にハードルが下がります
散剤や粉砕の調剤は日々行っていますし
インフルエンザを多く受ける薬局では、脱カプセルが必要だったところもあると思います
小児科を普段受けている方が、スタッフの受け入れハードルは低いです
患者さんへの声掛けハードルの低さも、小児科の強み
医療的ケア児の兄弟姉妹が使ってくれているなら
そのついでとして声をかけてあげられるかもしれません
普段は門前で作ってもらっていて、待ち時間や取りに行くのが大変というお母さんがいたら
処方せんだけ先に送ってもらえれば、帰宅後にお渡し・お届けできますよと
声掛けしてあげられます
小児科の薬作ってる薬局の方が、ちょっと安心感高めなんじゃないかな(と私は思っているんですが)
小児科、結構おすすめです
完全に所感なんですが
小児科のほうが、患者さんの間口を広く取りやすいです
子供から親、その親にかけて
いっぺんにみてあげられる強みがあります
家族全員のかかりつけ薬局になれば
いろんな科目の処方箋が集まることで
処方せん枚数の増加や集中率の低下に寄与してくれるでしょう
機材を充実させたり、人員を少し多くしないと厳しいので
そこらへんの難しさはありますが
しっかり真摯にやっていけば、他より伸びる可能性がある科目だと思います
医療的ケア児の対応は、患者さんの家族からも国からも求められる
非常に大事なところ
しっかり受け入れ対応して
ご家族みんなのかかりつけ薬局になれれば
三方よし です!
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