【薬局とお金の話】story3-薬剤師に求められる能力・資質

薬局とお金の話

近年、薬剤師の職能はどんどん広がっています
それに伴って、求められる能力やスキルもどんどん増えています

ミスのない調剤、間違いのない服薬指導、処方内容の鑑査はすでに当然とされ
在宅、他職種連携、薬薬連携、健康サポート機能や各種専門薬剤師も求められています

営業関係では、以前は24時間開局の話も出ていましたよね
最近は少し緩和されてきました(良かった・・)

これは厚労省の考える、将来の薬局像

厚労省「地域における薬局・薬剤師のあり方について」
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001247609.pdf

薬に関すること『以外』の能力、機能を求められています

『病気の予防や健康サポートに貢献』

これだって、一言でいうのは簡単ですけど
中身はこちらで考えて、こちらから提供して、しかも相手がやる気になってもらえるような取り組みにして
全部へ取り組めるようスキルアップしたら、専門性は薄くなっていくでしょう

そしてこういう話は裏方の話
患者さんからは見えない部分です

実は、薬剤師って
薬以外の業務や勉強 幅広く必要な職業なんです
薬の専門家で、コミュニケーションの専門家で、営業も必要で
物販関係にも詳しくなるよう求められています

薬剤師って、いろんなスキル 幅広いスキルを求められ
様々な業務をこなすことを求められ続けているんです

今回は、薬剤師の求められる能力や資質の話をします

私が実際に行ってる話なんかも混ぜていきます

薬学生にも、薬学部目指す方にも、患者さんにも
こういった影の部分も知ってもらえたらなと思っています

薬剤師って 結構頑張ってるんだぜ!

国の求める能力・資質

ミスのない従来業務の遂行

厚労省「地域における薬局・薬剤師のあり方について」
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001247609.pdf

在庫をしっかり揃え
処方せん内容のチェックと疑義
錠剤や粉、軟膏の調剤
服薬指導

当然ながら、ミス0を求められています
というか、全てにおいてミス0求められています

様々な方法、機械や人間の力を使ってミスの予防に努めていますが
調剤過誤は時々起こってしまいます
過誤が起こった際は、患者さんへの即時対応、レポート作成、再発防止策の検討と実行を行っています

処方後の対応

  • 服薬フォローアップ
  • 処方医への情報提供
  • 入院時、病院への情報提供
  • 在宅医療
  • プレアボイド事例の提出
  • 副作用報告

これらも随時で求められます
内容によっては一定回数以上を求められます

当薬局でも全て行っています
情報提供は作成に30分近くかかることもあり、なかなかヘビーな業務です

全ての薬のスペシャリスト

薬価収載されている薬の数は

13000以上!

薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和6年10月1日適用)|厚生労働省
薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和6年10月1日適用)について紹介しています。

薬局に科目はありません
正当な理由がない限り、調剤の拒否もできません
物理的に不可能な処方でない限りは、対応を求められます

逃げ場なし!全ての薬に対しての専門家としての知識、調剤、服薬指導を求められます

保険調剤に熟知

厚労省 保険調剤の理解のために
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/dl/shidou_kansa_13.pdf

健康保険法のシステム、保険点数や算定要件に関しては
知っていることが前提とされています

保険点数や内容は定期的に変更されますが
そこも学び対応しなければなりません

当薬局では社内・社外の調剤報酬勉強会に参加し
事務、薬剤師ともに勉強し続けています

薬剤師が、薬の鑑査と同時に保険算定内容の鑑査も行います

地域連携薬局・専門医療機関連携薬局

厚労省「地域における薬局・薬剤師のあり方について」
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001247609.pdf

より上質な薬局機能のための認定です

加算なので義務ではないのですが
こういった項目の設定は、クリアしてほしくて作られます
国の目指す、理想の薬局像のための項目であることが多いため、将来義務になる可能性もあります

コミュニケーション

近年はコミュニケーション関係の要望がどんどん上がってきています

  • 地域包括ケアシステムへの参画
  • 他職種への積極関与
  • 患者さんへのフォローアップ
  • 病院との連携
  • 地域活動への参加

かかりつけ薬剤師の算定をとるためには
地域の活動への参加が必須
ビラ配り、イベント出展、ケア会議など
通常コミュニケーションとは全く違う能力を求められます

ケア会議は、他職種の方と一緒にお困り案件への助言をする場です
私も参加しておりますが、なかなかにハード
短い時間での状況把握と、専門性からの視点での助言が求められます
専門性を持ちつつ、他職種への理解も必要です
しっかり続けていくには研修が必要な業務です

患者さん対応に関しては、昔のような情報を伝えるのではなく
本人がやる気になるような会話術などが求められてきています
行動経済学心理学の勉強が必要になりつつあります

当社では、ナッジを使った服薬指導の研修が何度かありました

【ナッジとは】

ナッジとは、人間の行動原理や性質を利用して、行動をそっと後押しする手法です。英語で「nudge」は「肘でつつく」という意味で、比喩的に「相手の行動をそっと変更を促す」ことを表します。(Google AIより)

コンビニレジ前の床にある、足の形の待機列なんかが有名です
ついその上にのっちゃうんですよね

会社の求める能力・資質

会社員としての能力

  • 一般的な社会常識
  • 言葉遣い
  • 文書作成

社内インフラもしっかり使えないといけません

言葉遣いや文書作成の能力は、他職種との連携
社外とのやりとりに影響しますので、実はとっても重要だったりします
情報提供書の作成は、文章気をつけないといけません

できてないと勉強する必要があったり、すごい痛い目を見たりします

薬局マネジメント

会社員な以上、薬剤師の業務だけでは足りません

薬局が問題なく運営できないと、仕事先がなくなります

  • スタッフマネジメント
  • 薬局の収支管理
  • 設備の維持、管理

これらマネジメントのためのスキルや情報収集
そのための勉強も必要になります

こういった勉強は学校で習わない内容ですので、社会人になってからの0スタートの方が多いんじゃないでしょうか

管理者であれば、会議等で収支について聞かれることも多いと思います
薬剤師の勉強にマネジメントは出てきませんから、これも追加勉強必須な項目です

設備管理は、管理薬剤師の義務です
分包機やレセコンなど、機械系のメンテナンス知識も要りますね

基本料・加算

基本料と加算関係は、薬局収益の要です

減れば怒られ、常に上を目指すよう言われるのは会社員の宿命

最近の調剤報酬では

  • 集中率(門前病院以外の処方箋がどれだけきているか)
  • 地域支援体制加算
  • 医療DX推進体制整備加算
  • 服薬情報提供料

この辺りが注目される加算です

地域支援体制加算は、どんどん条件が重たくなっています

厚労省 令和6年度診療報酬改定の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001238903.pdf

これらをクリアできるよう要求されるのも
会社員の宿命ではあります

大規模な薬局チェーンでは
集中率低下の取り組みも重要です
いろんな病院の処方せんを持ってきてもらえるような薬局になるよう
試行錯誤を求められます

患者の求める能力・資質

これは体感ベースの話ですが
患者さんが薬局に求める基準は

  • 距離
  • 時間
  • 便利

距離は『病院からの距離が近い』こと

時間は『薬を早くもらえる』こと

便利は『決済方法が多彩だったり、買い物ができたり、処方せん予約ができたり』

患者さんから自薬局を選んでくれた方の多くが、これのいずれかでした

ちなみに、こちらはくすりの窓口さん(E-PARKの会社)のアンケート

みんなのお薬箱
https://epark.mbtn.jp/kusuribako/survey_1.html

『病院・自宅からの距離が近い』で半数以上
便利さで選んでるのは10%ほどです

想像ですが、調剤時間が短い、薬が早く提供されるのはデフォなんだと思います
10分程度で薬は出てくる『ものだ』と思われてるんじゃないかと
その結果、30分や1時間待ちの薬局は最初から選ばないのだと思われます
(実際、待ち時間が長いと他行きますからね・・・東京駅の薬局では5分待てない方がいました)

そしてここには載っていませんが
精度(調剤を間違えないこと)

これは選ぶ基準というより、避ける基準に使われています

間違える薬局は信頼・信用を失って、避けられます
間違えない調剤は大前提 必須科目です

全部は無理!だから

国と会社が求める薬剤師と

患者さんが求める薬剤師(薬局)は、全然違っています

患者さんはわかりやすいところが大事
国は理念、将来像
会社は収益面です

では、患者さんにとっては
国の求める薬剤師の資質は不要なのでしょうか?

私は、そんなことはない と考えます

患者さんは、知らないだけ

それだけなんだと思っています

薬局が『コト消費』の場所であることを知って
かかりつけ薬局を作るメリットを知り・体感することができれば
選ぶ理由の内容もガラッと変わってくるんじゃないかと思います

そして、求められる資質を全てこなすことは、1件の薬局ではほぼ不可能です

やろうとしたら、薬局かスタッフが潰れます 多分

なのでこれからの薬局・薬剤師は
いずれかを選んで差別化
していくのがいいんじゃないでしょうか

コミュニケーション特化
高度な知識に特化
在宅、地域医療に強み
設備や利便性の拡充

など、強みを絞った薬局作りが進むんじゃないかと考えています

患者さんは、その強みのうち
一番心地いい場所を選ぶようになるんじゃないかな

今の私たち薬剤師に求められているのは
まずは、患者さんに

周知すること

だと考えます

薬局による違いがあるんだよという話は
どなたにしてもびっくりされます
多くの方が、どこの薬局も同じだと思っていた
という感想でした

差別化して生き残るためにも
各薬局の独自の強みを利用者に知ってもらうこと
距離以外の基準で選ぶことのメリットを知って体感してもらうこと
これらから始めていくのが必要なんじゃないでしょうか

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