近年、処方箋を中心に営業していた薬局にも
一般用医薬品の取り揃えを充実させて欲しいという国策が進んでいます
令和6年からは、地域支援体制加算の必須要件として入ってきました
48項目って結構・・・ですよね 当薬局もバタバタと取り揃えました
従来の処方箋中心の薬局では、一般用医薬品の販売は消極的 やっていない店舗もあるんじゃないでしょうか
処方箋医薬品には詳しいけど、一般用医薬品のことは全くわからない という薬剤師も珍しくありません
販売や陳列にイマイチ乗り切らない薬局も多いんじゃ無いかと思うんです
(うちじゃOTC廃棄になるから置きたくない!と言う薬局も存在するとか)
今日はそんな不人気項目、一般用医薬品を含めた『物販』コーナーのお話です
私は、薬局での物販強化はとても良いことだと考えています
置き場がない薬局、知識がない薬剤師
取り扱うのに不安な方も多いでしょう
それでも、物販は強化する価値があります!
今回の薬局とお金の話は
物販強化がオススメな理由3つをご紹介します
ちなみに
「うちの薬局じゃほとんどのOTCが廃棄になる」
と思っている方
48項目全てが売れるわけじゃありません(と言うか置く必要ある?って商品もあります)が
しっかり販売すれば、ある程度は売れます!
どんな立地でも!!
オススメ理由1『プラスαな売り上げ』
これは薬局・会社にとってのオススメ理由
『処方箋売り上げ+α になるから』
いやそらまんまそうだし
処方箋の点数取る方が高いという意見もあります
ごもっとも
正直、小規模薬局のOTCは利益3割あれば良い方という感じです
(ドラッグストアでは利益5割以上の商品もちらほらありましたね)
仕入れ値が全然違うんでしょうがないのですが・・・
1000円の商品1つ売れて、利益は300円(消費税とられるとさらに・・)
この販売に注力するより、トレーシングレポート提出して服薬情報提供料を取った方が
利益では上になるでしょう
それでも物販強化して販売するメリットは
処方箋に依らない利益の確保
収入源の分散です
物販は処方箋なくても行えます
近隣の病院の動向で完全に左右される処方箋調剤と違い
物販を買いに来るのは患者さん主導です
近隣の新規薬局開店などで影響受ける面もありますが
しっかりとしたラインナップ、対応ができれば利用してもらえる可能性は上がります
そして、処方箋からもらえる報酬には限りがありますが
物販による利益には限度がありません
販売したら、その分だけ売り上げとなるんです
常に成長を目指す企業にとって
頭打ちじゃない収益源は、投資に値する
これらの観点から
+αな売り上げ
になる物販強化はオススメです
オススメ理由2『売り場作りは楽しい!』
これは従業員にとって、オススメな理由
売り場作りって、楽しいんですよ!
売り場は大きく分けて2種類
- 定番売り場
- プロモーション売り場
定番売り場は、季節等関係なく置いておく売り場
ドラッグストアなんかで、値札だけついてずらーっと商品並んでいる棚は
ほとんどが定番売り場です
顧客ニーズに対応するのが目的なので、ジャンルごとにわかりやすく陳列し
各商品1列ずつ(1フェイス)ちょっとマニアックな商品も置いておく場所です
定番売り場は正直、やれることが少ないので作業気味
一方、プロモーション売り場
プロモーション売り場は、季節物やオススメしたい商品を目立たせる売り場
販売コンクールで賞を取った売り場の写真見たことある方はイメージしやすいかも
どでかい栄養ドリンクのボード作って飾っていたり
空箱積み上げてタワーにしたりと
目立つ・欲しくなるよう作り上げるのがプロモーション売り場です
この売り場作りはやりがいありますよ!
売りたい物、おすすめしたい物、珍しい物など
自分がちょっと推しな商品をピックアップして
それが売れるような売り場を自分で考えるんです
場所はどこでもOK
棚の一段を占領してもいいし
小さいテーブル用意して使っても良いですね
他の商品との折り合いをつけつつ
広い場所を確保して売り場を作りましょう
手書きのPOP、季節の花、冬なら雪オブジェやクリスマスツリーとか
売り場を作る方のセンスで、自由に作れるのがプロモーション売り場です
薬局業務って、単調なことが多くて飽きてしまうことがありますが
こういったクリエイティブな業務が入ると、気分も一新です!
いつもと違う脳を使ってる感じがして楽しいですよ
暇な時間に売り場の飾り作ったりもできますから
隙間時間対策にもなりますね
オススメ理由3『活気のある店内』
物販販売をしっかり行おうとすると、季節に合わせた売り場作りが必須になります
季節感は鮮度を良くしてくれ、活気が生まれます
物販は、鮮度の悪いもの、鮮度の悪い場所からは売れないと言われます
売れ残り感があったり、実際に汚れていたり、季節外れの商品が並んでいたりすると
その売り場の鮮度は落ち、購入意欲が落ちてしまいます
そのため、物販をしっかりやるなら
季節に合わせた売り場を作り、定期的に商品の入れ替えが必須です
プロモーション売り場の商品を変えたり
レイアウトを定期的に変更したり
棚の飾り付けを季節物で統一したり
ラインナップの入れ替えをしたり
手間はかかります
季節を少し先取りしないといけないので、ある程度の年間スケジュールも必要になるでしょう
それでも、季節ごとに売り場を変えて、商品の入れ替え等をこまめに行なっていけば
季節ごとに薬局内の雰囲気は変わります
患者さんも意外と気がつきます
声をかけてくれる方や、商品を購入してくれる方出てきます
待合室が、ただ待つだけの場所じゃなくなり、活気が出てきますよ
実は『三方よし』物販強化
近江商人の経営哲学のひとつとして「三方よし」が広く知られている。「商売において売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよい商売といえる」という考え方だ。
伊藤忠商事「三方よし」より引用 https://www.itochu.co.jp/ja/about/history/index.html
『三方よし』は
- 自分
- お客さん
- 社会
この三方にとって満足・嬉しい商売のこと
いずれかを欠いた商売は長続きしない、うまくいかないと言われています
物販系の強化って、実は三方よし
それはなぜか?
①販売側(薬局や会社)
物販に関しては処方箋や金額での制限がありません
数量は、お客さんの必要に応じて販売することができます
販売価格は、薬局ごとに適切な金額にすることが可能です
しっかりと利益確保をしつつ、数量制限なく販売できるため
薬局側の努力によって利益を伸ばせる分野となっています
それって、成長を求め続ける『会社』と相性が良いんじゃないでしょうか
薬局・会社にとって『よし』
②お客さん(患者さん)
お客さんの視点って、とってもシビアです
欲しいもの、必要なものは買うし
高すぎたり要らないものは買いません
そんなお客さんが、物販品を買うということは
店頭の商品と値段に満足したということ!
CS=顧客満足 という言葉がありますが
まさにその顧客満足を満たしたために、物は売れていきます
満足の中身は様々、値段かもしれないし、鮮度かもしれないし、利便性かもしれません
いずれにせよ、それを買うことで満足するから購入するんです
お客さん・患者さんにとって『よし』
③社会
これは厚生労働省から出ている『患者のための薬局ビジョン』
このうち、厚労省が求める薬局として『健康サポート薬局』という考え方があります
処方箋だけ扱うんじゃなくて
一般用医薬品や衛生材料も取り扱って
セルフメディケーションに寄与しなさいよ!というお言葉です
社会にとっても、医療費の削減と地域医療の安定化のために
物販の強化は求められ続けているところです
社会にとって『よし』
意外と売れる!置いておきたい商品
【電子体温計】
意外と売れます
売れ筋にはなりませんが、小さい薬局でも数ヶ月に一度は売れます
電池切れの体温計買い替えが理由みたいです
1種類しか置けないなら『予測検温』可能なタイプを
予測検温30秒より短いのがお勧めです
電子体温計は『予測検温あり』と『予測検温なし』のタイプがあります
・予測検温なし のタイプは1000円以下で買えるものもあります
・予測検温あり のタイプは1600円〜とちょっとお高め
2種類置いておくと違いを聞かれますので
「安いのは脇下10分、高いのは数十秒です」
実測式
予測検温
【衛生用品】
外科系の処置された方が買っていかれます
「どんなの使ったらいい?」「どう使ったらいい?」
と聞かれることが多いので、紹介できるよう準備しておきましょう
- サージカルテープ(紙タイプ、セロタイプ)
- ガーゼ、三角巾
- 滅菌パッド、防水パッド
- 包帯、ネット包帯、包帯止め
この辺りは置いておきたいところです
一般用医療用品メーカー 白十字
FAMILY CAREシリーズで揃えると、売り場に統一感が生まれますよ
【低価格帯商品】
100円未満の商品 特に食品系があれば
投薬カウンター近くや受付近くに置くのがおすすめです
飴とかお菓子とか、生姜湯なんかもありです
小売業の基本 ついで買い につながりますよ
今回の記事書いた理由(後書き?)
私、現在は処方箋メインの薬局に勤めておりますが
最初に勤めたのはドラッグストアでした
ドラッグストアでは多種多様な販売品、いろんな種類のOTC医薬品、衛生材料や介護用品を扱っていましたが、そこから一転、山奥の薬局に移動します
そこでびっくりしたのが、物販の種類の少なさ!
薬も20品目無いくらい
衛生用品も両手で数えられるくらいでした
こんなので売れるのか?と思っていたんですが
意外と買っていく方がいたんです
物販エリアをメンテナンスしていたのが、ドラッグストア出身の薬剤師で
季節やニーズに合わせて、狭い売り場でしたがしっかり商品展開していました
先輩薬剤師による販売努力もあったでしょうし、場所的な強み(他店がない)もあったと思います
その後は中小の薬局を転々としていきましたが
物販棚はあるのに全然活用していない店舗の多いこと!
売れた商品の充填のみ行なってる店舗が多かったですね
並べているだけでは、商品はほとんど売れません
鮮度が低い売り場は、そもそも見てくれないなんてことも
それにがっかりして、一般用医薬品の売り場を強化
棚の設置をお願いして、ラインナップを選定・充実させ
プロモーションコーナー作ったり、季節の売り場にいじったり
色々やっていました
色々動いた結果、売り上げに貢献したところもあると思いますが
衛生材料の充実や勉強会の開催などで、患者さんへの満足度向上にもつながりました
そしてなにより、物販コーナーって自由度が高いので、自分が楽しく働けるんです
もしかしたら、四方よしかもしれない(自分、薬局、お客さん、社会)
そんなに大変じゃ無いですから、物販コーナーのある店舗の方
季節物の取り扱いと入れ替えから、始めてみませんか?
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