「資産運用はしたいけど、リスクは取りたくない」
.そんな方に最初におすすめするのが『個人向け国債』です
個人向け国債は、《円預金より利率が高く》《元本と利息は国が保証》《中途解約ができる》という、大変に安全性と流動性に優れた投資商品です
投資初心者からベテラン、若者からシニア層まで幅広く利用されています
個人向け国債は大変便利な投資先ですが、『国債だけで資産運用が完結しない』点には理解が必要です
今回はFPの視点から、国債を資産運用に組み込こんだ『ポートフォリオ』を紹介します
- 個人向け国債は『安全資産』 貯金と投資の中間の役割
- 個人向け国債は『投資始めての方』『退職が近い方』に特に有用
- 個人向け国債3つの注意点『インフレ』『中途解約』『金利変動』
個人向け国債の資産性
個人向け国債は『安全資産』かつ『預金より高金利』
個人向け国債の資産としての特徴は
- 元本保証
- 流動性が高い
- 最低金利が0.05%
- 円預金よりも金利高め
- デフォルトリスクが極めて低い
株や投資信託と比べるとリターンは少ないですが、リスクが低く(ほとんど無い)価格変動がありません
日本政府が発行元ですからデフォルトリスク(債務不履行リスク)が極めて低いです
中途換金は購入1年後は自由なので、流動性が高い資産です
これらの特徴から、個人向け国債は資産の中でも『安全資産』として機能します
非常用貯金と投資の中間のような役割を持ちます
個人向け国債はどんな人に向いている?【初心者・50代・短期利用】
退職を控えた50代、60代
個人向け国債は、価格変動リスクが無い安全資産の一つです
退職を近く控えている=取り崩しが近く迫っている こと
取り崩す際には、リスクが小さい方が心理的負担も資産的な負担も少ないです
投資初心者
価格変動リスクが無い個人向け国債は、リスクが不安な投資初心者の投資第一歩に有用です
購入後1年後から中途解約できるので、突然の支出にも対応がしやすく手を出しやすい運用先と考えます
証券会社で購入できるため、証券口座の開設が今後の投資、NISAなどを活用する準備にもなります
一点気をつけて欲しいのが利回りです
個人向け国債は、株式投資や債権投資と比べて利回りが低いです
老後のための資産運用のコアには使えません
あくまでリスクが低い安全資産
投資が怖い人向けの導入の第一歩目としての役割になるでしょう
数年後に大きな支出がある方
3年以上先に大きな支出がある方
例えば、『家を買う』『大学入学金』『結婚資金』など
こういった支出が控えている方の資産運用先には、個人向け国債が有用です
個人向け国債の満期は『3年』『5年』『10年』の3種類
中途解約すると2回分の利息が徴収されますが、満期まで持てば大丈夫です
現在のところ定期預金よりも金利が高いのも魅力です
三菱UFJの定期預金3年は0.35%、ただの普通預金は0.2%ですが
個人向け国債の、固定3年(満期が3年)は0.79%です
2倍以上の金利差があります

まとまったお金を銀行に預けたままという状態は、金利低くて勿体無いです
個人向け国債の購入を検討しましょう
ポートフォリオとは?資産配分の考え方
投資における『ポートフォリオ』は、簡単にいうと
自分の資産をどのように分けて持っているかの一覧です
たとえば、あなたが100万円を投資に回すとします
- 50万円は株式
- 30万円は債券
- 20万円は現金(預金)
この「株50%・債券30%・現金20%」という組み合わせが、あなたのポートフォリオです
ポートフォリオを組む理由
投資格言に、「卵を一つのカゴに盛るな」という言葉があります
10個の卵を買ったとして、一つのカゴに10個全て入れていた場合、そのカゴを落としたら全ての卵が割れてしまいます
2個ずつ五つのカゴに分けた場合、一つのカゴを落としたとしても割れる卵は2つだけ
8個の卵は無事です
資産も卵のように、様々な資産に振り分けることでリスクを調整します
もし100万円をすべて株式に投資してしまうと、株価が大きく下がったときに資産全体も大きく減ってしまいます。
一方で、株だけでなく「値動きの性質が違う資産(債券・預金・不動産・投資信託など)」に分けて投資することで、ある資産が下がっても別の資産がカバーしてくれる可能性があります。
これが 「分散投資」=ポートフォリオの役割 です。
【モデル例】年代別ポートフォリオ
資産運用は
『リスク資産』(株式や投資信託、債権など)
『安全資産』(無リスク資産とも呼ぶ 円預金、定期預金、国債など)
これらの組み合わせで、『リスク』と『リターン』のバランスをとることが重要です
国債を安全資産として組み込んだモデル例を提案します
年収は、金融経済教育推進機構『家計の金融行動に関する世論調査(2024年)』を参考にしています
世帯主の年齢 | 金融試算保有額の平均値 |
---|---|
20歳代 | 326万円 |
30歳代 | 844万円 |
40歳代 | 1303万円 |
50歳代 | 1719万円 |
60歳代 | 2521万円 |
参考までに
株式投資の 『リターン 5%/年』『リスク 20%』で計算してます
全世界株式の投資信託がこのくらいです
ケース① 投資初心者(20代〜30代)
資産合計 300万円 で考えてみます
①個人向け国債のみで投資を始める
- 個人向け国債 83%
250万円(生活防衛資金200万円含む) - 円預金 16%
50万円


リターン 0.87% 27万円/10年
リスク 0% 価格変動なし
資産運用に慣れるための配分です
インフレ状況では目減りするので、資産運用の観点からはこのまま継続はおすすめしません
②株式投資にスイッチする ことをおすすめします
②株式投資にスイッチする
- 個人向け国債 66%
200万円(生活防衛資金) - 株式投資 16%
50万円 - 円預金 16%
50万円


想定リターン 1.53% 49万円
リスク 3.26% 5%の確率で元本割れ
運用先を個人向け国債→投資信託に変えた配分です
余剰金を投資に回して行くと、リスクとリターンが上がっていきます
リターンは2%を超えることが最初のハードルです
(インフレ目標が2% これを下回ると資産が目減りする)
ケース② 子育て世代(30代〜40代)
資産合計 1000万円 で考えてみます
①リスク低
- 個人向け国債 60%
600万円(生活防衛資金300万円含む) - 株式投資 30%
300万円 - 円預金 10%
100万円


想定リターン 2.12% 233万円/10年
リスク 5.88% 5%の確率で元本割れ
リスクを極力抑えつつ、インフレ目標2%と同程度のリターンを目指す配分です
実質の資産は増えませんので、労働と節約にて老後資金を作れる方向けです
②リスク中
- 個人向け国債 40%
400万円(生活防衛資金300万円含む) - 株式投資 50%
500万円 - 円預金 10%
100万円


想定リターン 2.92% 333万円/10年
リスク 9.79% 5%の確率で元本割れ
大きなリスクは取らず、リターンは少し高めたい方向けの配分です
資産の半分が株式投資なので、暴落時に慌てない心が必須です
(株式部分は一時的に半分になる可能性もあります)
ケース③ 取り崩し前世代(50代)
資産合計 2000万円 で考えてみます
①退職年齢60歳
- 個人向け国債 50%
1000万円(生活防衛資金300万円含む) - 株式投資 40%
800万円 - 円預金 20%
200万円


想定リターン 2.52% 561万円/10年
リスク 7.84% 5%の確率で元本割れ
まもなく取り崩しが始まる方向けの配分です
取り崩し開始のことを考え、安全資産を3年分以上確保しています
一時的な株価暴落が来た際にも、安全資産から取り崩すことで資産を守ることができます
インフレ目標2%を若干超えるリターンを目指し、リスクはかなり抑えめになっています
②退職年齢70歳
- 個人向け国債 15%
300万円(生活防衛資金300万円) - 株式投資 75%
1500万円 - 円預金 10%
200万円


想定リターン 3.92% 937万円/10年
リスク 14.69% 5%の確率で元本割れ
資産運用期間があと15年以上ある方向けです
退職間近までを資産運用期と考えて、積極的にリターンを狙って行く配分となっています
株式比率が大きくリスクが結構あるため、一時的な暴落や含み損に目をつぶって乗り越える胆力が必要です
60歳以降の生活費は、働いて稼いでいきます
可能なら余剰金も投資に回していきます
個人向け国債の注意点
安全資産で便利な個人向け国債ですが、注意事項が3点あります
1、インフレリスク
国債の金利はインフレ率より低いことがほとんどです
国はインフレ目標を2%と設定しています
2%を超えるようなら金利を下げ、2%を切るようなら金利を上げて調整を行います
資産運用を行っても、リターンが2%を切っていたら資産が目減りし、実質的な資産が減ってしまいます
定期預金よりも金利の高い個人向け国債ですが、これだけでは資産が守れない点には注意が必要です
中途解約のルール
個人向け国債は流動性の高い資産ですが、購入後1年間は中途解約できないという規約があります
円預金とのバランスに注意をしたり、国債購入の間隔をあけたり(半年ごとに買うなど)工夫をすることも大事です
金利変動リスク
個人向け国債の金利は市場金利に基づいて決まります
市場金利は日々変動しています
日本の事情だけでなく、海外の事情なんかも影響してきます
毎月のように金利が変わるため、購入時の金利がどのくらいかで資産のリターンも変わってきます
基本的には、将来金利が下がるなら固定金利、将来金利が上がるなら変動金利が有利です
個人向け国債には『固定金利』と『変動金利』のラインナップがあります
金利変動が不安な方は固定金利を購入すると良いでしょう
金利が上がった時に損したく無いと考える方は、変動金利がいいと思います
個人向け国債の資産運用まとめ
ポートフォリオにおいて、個人向け国債は『安全資産』
リターンは小さいですが、価格変動リスクは0%です
リスク0%であることを利用して株式や投信と併せてポートフォリオを組むと、リスクを抑えた運用が可能です
価格変動のない個人向け国債は、定期預金や円預金の代替としての役割を持たせられます
若年者では生活防衛資金の置き場として
50代以降では、暴落時の取り崩し対策に
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