【薬局とお金の話】story1-薬局は『コト消費』である-

薬局とお金の話

【薬局とお金の話】シリーズを新設します!

このシリーズは、普段あんまり考えることがない

薬局の内部事情 特にお金周りについて考察と解説をしていくコーナーです

当コーナーでは

  • 薬局をより深く知る
  • 薬局での支払いに透明感が増す
  • 調剤報酬の仕組みについて触れる

こんな内容を取り上げていきます

今回のお題は

薬局は『コト消費』である

『ドラッグストア』と『薬局』

日本の薬局業は大きく分けると2種類

  • ドラッグストアタイプ
    主に市販薬、化粧品、雑貨、生鮮食品等の販売を行う
    処方箋対応が可能な店舗もある
  • ファーマシー(薬局)タイプ
    主に処方箋対応を行う
    市販薬の販売等も行っている

収益の主が処方箋かそれ以外かで区別される感じです
ドラッグストアは大型の店舗になりやすく
薬局は小型の店舗がほとんどです

ドラッグストアで処方箋対応できる店舗を、調剤併設店と呼ぶこともあります

ここで話をするのは『ファーマシー』タイプ 薬局のことです
世間では調剤薬局と呼ばれたりしますね

支払いは『調剤報酬』が決める

ファーマシー(薬局)は、処方箋を提出され調剤の希望があったら
正当な理由がない限り拒否できません(薬剤師法 第21条)

そのため
手間だから とか
在庫を置きたくないから とか
忙しいから

を理由に拒否をすることはできないんです
(流通不安定品の時の対応は微妙なところです。他の薬局を勧めることは違法ではありません)

そして、患者さんに請求できる金額、払い出しする薬の値段は法により決められています

調剤に関わる費用を簡易的に一覧にしたものを調剤報酬点数表と呼び
日本薬剤師会がホームページで公開しています

調剤報酬改定等に関する資料 |日本薬剤師会
「調剤報酬改定等に関する資料」についてご紹介しています。
Screenshot

こんな感じ どの薬局にもどこかに貼ってあるはずです

調剤報酬は点数で表記されます

1点=10円 です

処方箋によるお会計は
この点数を超えての請求もできなければ
この点数を割引しての請求もできません

薬の値段も同様で、払い出し価格は国によって決められています

払い出し価格のことを 薬価 と呼びます

薬価については、毎年厚労省が定め、ホームページ上で公開しています

医療保険が適用される医薬品について
医療保険が適用される医薬品についてについて紹介しています。

薬局支払いの内訳は?

現在、医療機関の支払いの際には
支払い内容の明細書が添えられてきます

こんなかんじ

支払い内容は、大きく3種類に分類できます

今回の記事は2024年の点数で作りました
調剤報酬改訂があると、名称等が変わる可能性があります

① 設備や場所代の「調剤基本料」

調剤基本料は
薬局の設備状況、対応状況に応じて設定されます

場所代のようなもので
ほぼ全ての患者さんに、同様に請求できる点数です

中身の構成としてはこんな感じ

  • 調剤基本料
    大手チェーン店か否か、処方枚数の多い薬局か、いろんな医院の処方箋を受けているか
    で7つに区分されます
  • 地域支援体制加算
    地域医療に貢献するための機能があるか、実際行えているか
    で4つに区分されます
  • 後発医薬品体制加算
    後発医薬品を積極的に払い出ししているか
    で3段階に区分されます
  • 服薬管理指導料
    定められた情報を薬歴に記載し、継続的な服薬管理を行っていること
    で算定 
  • その他加算

この項目は、薬局の利益の基本となります
設備や機能を充実させ、より高い点数を取ることが国より望まれています

② 情報や技術、手間賃「薬剤調整料、調剤管理料」

処方の内容、薬の準備や手間に応じて算定できます

薬の種類、内容はもちろんのこと、一包化や半割(錠剤を割る)指示も
医師が行なっているため、薬剤師が勝手に内容を変えることはできませんし
患者さんが勝手に変えることもできません

労力や時間がかかっている項目ですので
すべてがまるっと利益になるというわけではありません

  • 薬剤調整料
    内服、外用など服薬方法毎に一定の点数がつくものと
    自家製剤加算、計量混合調剤加算など手間のかかる調剤に応じてつく点数があります
  • 調剤管理料
    内服薬と日数で一定の点数がつくものと
    残薬や飲み合わせでの、問い合わせに応じてつく点数があります
  • 外来服薬支援料
    2種類ありますが、基本は一包化(用法毎にパックする)の手間賃です

調剤基本料と薬剤調整料、調剤管理料を中心として
その他(在宅やかかりつけ等の加算)をあわせたもの

つまりは調剤報酬のうち、薬代(薬剤料)を除いたものを
調剤技術料と呼ぶことがあります

③ 純粋な薬代「薬剤料」

薬剤料は薬の値段
法で決められた薬代の『薬価』に
処方された錠数等を掛けたものです

薬局の利益になるのは

薬価−納入価(仕入れの価格)=薬価差益(薬局の利益)

納入価は薬問屋との交渉によって変わります
力の強い、大きい企業は有利に働くかもしれません

薬の供給不安定になっている現在では
薬のメーカーや問屋の力が強いです

一般的には薬価の7%くらいが利益とよばれますが
差益がほとんど出ないという企業も増えていると思われます
(消費税を加味すると2%くらいかも)

点数内訳見ていきましょう

全体の点数 1261点

内訳は
薬剤料 994点
調剤技術料 267点

売り上げを見ると薬代はかなりを占めています

原価(薬の納入価)をひいてみると

薬剤料 20〜70点(2%〜7%)
調剤技術料 267点

薬局って、薬をもらう場所なんですが

薬による利益がかなり少ないことがわかります

利益の大半は調剤技術料
技術料はサービスに応じてもらえる点数です

薬をしっかり準備しておき
処方箋の内容を確認して
混ぜたり一包化したりして
使い方の説明をして

これらサービスに対しての報酬が、薬局利益の大部分を占めます

これってつまり

患者さんは

薬局に、サービスを受けに行っている

と考えていいのではないでしょうか

ちなみに、薬剤料は何の薬を使っているかで全然違います
今回の明細書は私の薬のものなのですが、値段は割と高めです

薬剤料は技術料のだいたい倍くらいです
自身の肌感としてもそんな感じ

厚労省プレスリリース https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001143716.pdf

薬局は『コト消費』である

モノ消費とコト消費 という言葉があります

モノ消費は欲しいものを買うこと
欲しいものがあったり、宣伝等で欲しくなった『物』を購入する消費が
モノ消費です

コト消費は体験を買うこと
レジャーにいく、ワークショップを体験するなど
物ではなくて体験を購入する消費が
コト消費です

薬局って

  • 手にできる薬は同じ
  • 薬の値段は同じ
  • サービス(薬剤師や薬局設備)は異なる

これつまり、薬局は

体験
情報
場所の良さ

を購入する、いわゆる『コト消費』だと言えるんじゃないでしょうか

コト消費である以上、求めるのは物ではなくて体験です

場所の良さ、家からの近さ
スタッフの心地よさ
専門性のある情報提供
イベントの開催 など

薬局での支払いの半分以上が、その薬局のサービスにお金を払っているようなものです

全ての患者さんに伝えます

お気に入りの薬局『推しの薬局』を作りましょう

この薬局は雰囲気がいいな とか
この薬局のサービスが嬉しい とか
この薬局の、この薬剤師は相性がいい とか

あると思うんです

是非その主観的な感覚を大事にして、1件の推しの薬局を作ってください

そして、どの病院の処方箋も、推しの薬局に持っていきましょう

前述の通り、薬局は、薬をたくさん出してもほとんど儲かりません
薬局は、患者さんにたくさん来てもらえると儲かります
薬局が儲かることで、スタッフの給料が上がり、店舗のクオリティは上がりやすくなります

それになにより、いろんな処方箋持ってきて頼ってもらえるのって、薬剤師にとっては凄く嬉しいことなんです
頼られることでやる気が上がり、より質の高いサービス提供につながることでしょう

それはまわりまわって、患者さんの満足する薬局作りにつながります

推しの薬局

つくりましょう!

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