日本に住んでいる20歳以上は、二つの保険に加入する義務があります
年金制度は三つのリスクに備えたモノ
長生きリスクには【老齢年金】
死亡リスクには【遺族年金】
障害リスクには【障害年金】
実は、年金は保険の一つ
老齢給付による老後の安定化だけでなく
障害を負った時や遺族へ保証の制度も組み込まれています
年金破綻すると言われて久しいですが
その可能性は極めて低いです
給付額は減少するかも知れませんが
制度が破綻することは、税金投入してでも回避されるでしょう
とはいえ年金保険だけでは遺族の生活がなり立たないこともあります
民間保険はその時に活用考えましょう
保険に入りすぎると、資産形成の妨げになります
安定した老後のためにも、保険は最小限にしていきたいですね
2022年と2023年での金額変更箇所には赤線ひいときます
年金の種類
日本の年金は3階建て
1階【国民年金】 全員加入
2階【厚生年金等】 会社員などが加入
3階【それ以外の年金】 任意加入の年金です iDeCoや確定拠出年金が該当
1階と2階は義務、3階は任意の年金です
制度 | 説明 |
---|---|
国民年金 | 日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人。 |
厚生年金 | 厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務する全ての人。 |
共済年金 | 公務員・私立学校教職員など。 |
1階 国民年金 [義務]
公的年金制度の基礎になるのが国民年金
日本に住む20〜60歳の全ての人に加入義務があります
学生も加入義務があります
保険料は収入に関係なく定額 16520円(2023年)
老齢年金の給付額は最大795200円 加入月数に応じて減額
2階 厚生年金保険[義務]
厚生年金保険の適用事業所で働く方が加入します
正社員と一定以上働くパート・アルバイトが対象です
厚生年金保険加入者は、国民年金に加えて厚生年金保険にも加入しています
それゆえ2階部分と表現されるんですね
厚生年金保険の特徴は
収入によって保険料、老齢年金額が変わること
収入が大きいほど保険料は高く、年金額も増えます(上限あり)
共済年金は公務員・学校教員のための厚生年金のようなものです 本記事では割愛します
3階 その他年金 [任意]
国民年金、厚生年金保険とは別に、個人の自由で加入出来る年金もあります
大まかに分けて下記の3種
企業の福利厚生制度「企業年金」
国の個人年金制度「個人型確定拠出年金(iDeCo)」
保険会社が販売する「個人年金保険」
制度 | 説明 |
---|---|
企業年金 | 一部企業の採用する退職金制度。退職金を年金として給付 確定拠出年金、確定給付年金など |
個人型確定拠出年金 (iDeCo) | ほとんどの日本国民が使える個人年金制度 自分で拠出金額と運用先を選択し、60歳以上で年金として給付 |
個人年金保険 | 民間保険会社の販売する年金+保険 |
いずれも控除が効く制度となっており
企業年金とiDeCoは非課税運用などのメリットもあります
お仕事別の加入年金
1 自営業等
義務 国民年金
任意 個人型確定拠出年金、付加年金、国民年金基金
フリーランス、自営業等の方は国民年金へ加入します
国民年金
【保険料】 定額で、月額16520円(2023年)
【給付額】 最大795000円(2023年)
繰り上げ、繰り下げ受給も可能です
-24%(0.4%×月数)〜+84%(0.7%×月数)
65歳⇒70歳まで繰り下げ受給するなら・・・+42%
65歳⇒75歳まで繰り下げ受給するなら・・・+84%
国民年金のみ加入の方は
付加年金もしくは
国民年金基金を活用することができます
※使えるのはどちらか片方だけです
【付加年金、実はとってもお得】
国民年金のみ加入の方への制度「付加年金」ですが
かなりの確率でペイできる、お得な制度なんです
月額400円上乗せで、年額最大96000円増額されます
繰り下げ受給時にも、同様の比率で増額されます
国民年金基金は、掛け金の税制優遇と給付時の税制優遇がメリットです
給付額は掛け金とほぼ同様と考えて良いでしょう
2 会社員
義務 国民年金、厚生年金
任意 個人型確定拠出年金、企業型確定拠出年金
会社員の年金は2階建て 国民年金+厚生年金
厚生年金
【保険料】 年収によって変わります
【給付額】 年収と加入期間、いつから加入していたかで変わります
<例えば>
年収500万円の会社員、平成15年4月以降に480ヶ月労働
・国民年金 795,000円
・厚生年金 500万円/12×0.005481×480≒1,096,000円
年金額=795,000+1,096,000=1,891,000
個人型確定拠出年金( iDeCo )
個人型の年金の一つ
運用を前提としていて、運用先は加入者が決める必要があります
税制がかなり優遇されてる(非課税+所得控除+年金)制度
利用するか否かは自由です
【iDeCoの詳細はこちら】
企業型確定拠出年金(企業型DC)
みなさん、退職金がどこからきてるかご存じですか?
会社辞めた時にもらえる退職金
社長のお小遣いから・・・ではなくて、企業の積立金から捻出しているんです
毎月もしくは毎年積み立てを行い、退職時には積立の口座から支給されています
通常、積み立てられた退職金は企業が資産運用を行います
運用がうまくいかないと企業が補填したり、退職金が減ってしまうことも
一方、企業型確定拠出年金は事情が異なります
企業型DCは退職金を受ける私たちが運用を定めます
預金でも構いませんし、投資で利回りを上げることもできます
運用先選びが非常に重要ですが、良い投資先を選べればかなり増やせる可能性も
受け取りは退職金として一括、もしくは年金として一定期間で給付となります
- 退職金の運用を選べる制度
- 運用は各自が決める
- 運用益は非課税
- 退職金もしくは年金で給付
老齢給付と繰り下げ受給
年金の受給を早める、遅らせることもできます
早めるのを繰上げ受給
遅らせるのを繰下げ受給と呼びます
繰上げ受給は、最大60歳まで受け取りを早めることができ
早めた月数×0.4% 受給額が減ります
繰下げ受給は、最大75歳まで受け取りを遅らせることができ
遅らせた月数×0.7% 受給額が増えます
<たとえば>
年収500万円、480ヶ月労働の会社員
年間の年金給付額は
国民年金 [795,000円 ] + 厚生年金 [1,096,000円]=1,891,000円
=1874000円
【繰り下げ受給】
65歳⇒70歳まで繰り下げ受給『+42%』
1891000×1.42=2,685,220円
65歳⇒75歳まで繰り下げ受給するなら『+84%』
1891000×1.84=3,479,440円
他にもいろいろ 年金の制度
障害年金
- 病気や怪我で仕事に支障が出た時の保険
- 給付期間は1~5年
- 障害度合いにより等級が分けられ、給付額も変わる
- 国民年金⇒障害基礎年金
- 厚生年金⇒障害基礎年金+障害厚生年金
障害基礎年金
- 国民年金加入者
- 60~65歳で日本に居住
- 等級(1~2)による障害の人に給付
【1級】
993,750円+加算
【2級】
795,000円+加算
【子の加算額】
2人まで→1人につき228,700円
3人目以降→1人につき76,200円
障害厚生年金
- 厚生年金加入者
- 障害基礎年金の保険料納付要件該当者
- 等級(1~3)による障害の人に給付
- 障害厚生年金は障害基礎年金と重複して受け取れます
【1級】
報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額
【2級】
報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額
【3級】
報酬比例の年金額 (596,300円~)
配偶者の加給年金額[228,700円]
障害手当金
- 厚生年金加入者
- 障害厚生年金の等級外
- 5年以内に治り、軽い障害が残った方
最低 1192,600円〜
遺族年金
遺族年金は、加入する年金と状況によって使えるものが変わります
国民年金のみ加入の方は遺族基礎年金
厚生年金加入の方は遺族基礎年金と遺族厚生年金
遺族基礎年金の中には寡婦年金と死亡一時金
遺族厚生年金の中には中高齢寡婦加算
という制度が組み込まれています
遺族年金は、年金納付者が死亡した際、遺族が受け取れる年金です
遺族の家族人数や、寡婦(寡夫)の年齢によって支給される金額が変わります
遺族年金は非課税です
所得計算しなくて大丈夫です
遺族基礎年金
- 国民年金加入者
- 生計を共にしていれば婚姻してなくてもよい
- 子、もしくは子のある配偶者(子のない配偶者は受け取れないことに注意)
【給付額】
- 子のある配偶者が受け取る
795,000円+加算額 - 子が受け取る
(795,000円+加算額)÷子の人数=一人分の金額 - 子供二人までの加算額=228,700円×人数
- 子供三人目以降76,200円×三人目以降人数
子供四人分の加算は
228,700×2+76,200×2=609,800円
となります
寡婦年金
- 0歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、学生、無職の人など、第2号被保険者、第3号被保険者でない人が対象
- 納付期間10年以上の夫が亡くなった時、10年以上継続婚姻(事実婚OK)していて夫に生計が維持されていた妻対象
- 60歳~65歳まで給付
【給付額】
夫の老齢基礎年金 × 3/4
死亡一時金
- 第2号被保険者(会社員や公務員)、第3号被保険者(会社員の扶養家族等)でない人
- 保険料納付期間36カ月以上
- 老齢基礎年金・障害基礎年金を受けないまま亡くなった
- 生計を一つにした遺族へ給付
- 寡婦年金を受給していない
- 遺族基礎年金を受給していない
【給付額】
12万円〜32万円
(保険料納付月数で変わります)
遺族厚生年金
- 厚生年金加入者の遺族
- 中高齢寡婦加算あり
- 寡婦年金あり
- 死亡一時金あり
- 下記該当者
【給付額】
報酬比例部分 × 3/4
報酬比例部分の出し方は
<たとえば>
年収500万円(平均標準報酬楽41.67万円)
22歳〜65歳まで(43年=516ヶ月)働く
41.67万円×0.005481×516ヶ月≒117.8万円
報酬比例部分は117.8万円
中高齢寡婦加算
- 夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻
- 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳到達年度の末日に達した等のため、遺族基礎年金を受給できなくなったとき
- 40歳~65歳までの間受給
[ 給付額 ]
596,300円
民間保険の使い方
民間保険の加入は、必要最低限で!
遺族が手に入れる年金額
自分が障害を受けた際に手に入る年金額
これをベースとして考えて
足りない分を保険加入で補いましょう
明日、自分が亡くなってしまったら
遺族が自立するまで二千万円足りない
→それなら保険金二千万円の生命保険に入りましょう
必要な額は歳を追うごとに減っていきます
減ったら保険金額は下げていきましょう
保険金額が高いほど、保険料は高くなります
保険で生活が苦しくならないよう、加入は最低限で
そしてもう一つ
貯蓄型の保険や元本確保型の保険は避けましょう
これら保険は隠れた手数料が高く、運用利回りが低く
保険機能が大変微妙です
保険は、掛け捨て型の生命保険や収入保障保険で
投資や貯蓄は、投資信託をNISAやiDeCoで購入、もしくは日本国債の購入で
対応するのがコスパ良しです
保険で毎日苦しくならないよう
保険で老後資金が足りなくならないよう
加入保険はしっかり計算して吟味しましょう
【NISAについての解説はこちら】
【控除で節税になる!iDeCoの解説はこちら】
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