「投資信託を始めてみたけれど、実は中身をよく分かっていない……」
「世の中のニュースで株価が下がると、怖くなって売るべきか迷ってしまう……」
そんなお悩み抱えた方に、ぜひ一度開いてみてほしいのが投資信託の『目論見書(もくろみしょ)』です。
目論見書とは、一言でいえば『投資信託の取扱説明書(トリセツ)』です。
投資を始めたばかりのうちは、完璧に読み込まなくても大丈夫です。
でも、投資歴1年を迎えるまでには、一度はしっかり読んでおくことを強くおすすめします。
なぜなら目論見書を読むことで、自分が『何に』『どのように』投資していて、『どのような値動きをして』『どれくらいコストがかかる』ことなのかがハッキリするから!
ここを知っておくと、暴落がきた際に慌てて売却する『狼狽売り』しにくくなります。
目論見書を読むと『暴落』に強くなる?
目論見書に書かれているのは
- ファンドの特色:投資方針・投資先がわかる
- 投資リスク:値動き幅(リスク)予想がわかる
- 運用実績:過去の値動きと資金の集まり方がわかる
- 手数料:実際に徴収される費用がわかる
自分の投資先を知っておくことは、長期投資する上ではとっても大事。
もし知らない状態で暴落が来たら・・・
持ってて良いのか?それとも売った方がいいのか?の判断が出来なくてすごくストレスを感じてしまいます。
「なぜこんなに下がっているの?」
「このまま持ち続けて大丈夫?」
「これ以上損する前に、今すぐ売ったほうがいい?」
こういったことが頭をよぎるはず。
ストレスからパニックになってしまい、将来株価が回復する見込みが高くても、一番損なタイミングで売却(狼狽売り)してしまうかもしれません。
事前に目論見書を読んで投資先をしっかり理解していれば
「これは、長期で見れば回復する可能性が高んじゃないかな」
と見通しを立てることが出来て、今後の対応を自分で考えることができるようになります。
『自分が投資しているものは何なのか』を知る
これは、長期投資を成功させるための最大の防衛策です。
過去記事:投資信託の基本を復習する
※投資信託(ファンド)は、資産運用のプロに様々な株や債券などの『詰め合わせパック』を運用してもらう仕組みです。
目論見書でわかる『4つの重要ポイント』
目論見書には
- 何に
- どのように
- いくらかけて
投資するかが詳しく書かれています。
チェックすべき項目は、主に次の4つです。
| チェック項目 | 分かること・メリット |
| ① ファンドの目的・特色 | どんなコンセプトで、何にどう投資するかが分かる |
| ② 投資リスク | 値動きの要因や、過去にどれくらい上下したかが分かる |
| ③ 運用実績 | 目的通りに運用できているか、順資産額が増えているかが分かる |
| ④ 手数料(コスト) | 購入時や保有期間中に、自分がいくら支払うかが分かる |
【実践】人気ファンドの目論見書を読んでみよう!
今回は、大人気インデックスファンドである『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』をサンプルに、それぞれの項目をどう読めばいいのか解説します。
① ファンドの目的・特色

ここには、『インデックスファンド(指数に連動)』なのか『アクティブファンド(指数超えを目指す)』なのか、といったファンドの基本的な性格がざっくり載っています。
今回のサンプルは、『MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス』という全世界の株式指数に連動を目指すインデックスファンドです。
また、以下の重要なポイントもここに記載されています。
- 為替ヘッジの有無
外貨建て資産に投資する場合、株価だけでなく為替(円高・円安)の影響も受けます。
先物取引等を利用して為替の影響を抑えるのが『為替ヘッジあり』ですが、『手数料が高くなる』『金利上昇でコストが上がる』というデメリットもあるため万能ではありません。
なお、このファンドは『為替ヘッジなし』です。 - 分配金について
株の配当金にあたるものが投資信託の『分配金』です。
このファンドは『効率よく複利効果を活かすため、分配金を出さずに自動で再投資する』という方針をとっています。
《毎月分配型に注意》
分配金が毎月受け取れる『毎月分配型』の投資信託ですが、投資効率が非常に悪い商品です。
主に高齢者向けな投資なので、これから資産形成をする皆さんは手出し無用です!
過去記事:インデックスファンドってなに?
② 投資リスク

投資の世界での『リスク』とは、危険度ではなく『値動きの振れ幅(変化の大きさ)』を意味します。
- 価格変動リスク:市場の動きで金額が上下します。
- 為替変動リスク:円高・円安で収益が上下します(外国株投資には必須の知識)。
- 信用リスク:投資先の業績悪化などで価値が下がることがあります。
- 流動性リスク:売りたくても買い手がつかない可能性について。
また、目論見書には『騰落率(とうらくりつ:価格が何%上下したか)』がグラフで載っています。
他の代表的な資産クラス(日本株や先進国国債など)と比較されているため、自分のファンドがどれくらい激しく動く特性があるのかを一目で確認できます。
過去記事:投資における『リスク』と『リターン』
③ 運用実績

ここには、現在のファンドの実績が数字とグラフで掲載されています。
- 基準価額(きじゅんかがく)
投資信託の『お値段』です(購入単位は『口(くち)』)。 - 純資産総額(じゅんしさんそうがく)
ファンドの『お財布の大きさ(資産総額)』です。
ここが日々順調に増えているファンドほど、償還(途中で運用が終わること)のリスクが低く、安定的な運用が期待できます。 - 主要な資産の状況
実際にどんな銘柄を組み入れているかが見られます。
この投資信託なら、Apple、Microsoft、Amazonなど誰もが知るアメリカの有名巨大企業がずらり。
④ 【要チェック】手数料(ファンドの費用・税金)

引用 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)『目論見書』
投資において、私たちが確実にコントロールできるのは『コスト』だけです。
投資成績は状況によって上下しますが、『手数料=コスト』は変わりません。
必ず目を通しましょう。
- 購入時手数料
買うときにかかる費用。
優秀なネット証券のインデックスファンドなら、基本“なし(ノーロード)”です。 - 信託財産留保額
解約(売却)するときにかかるペナルティ的な費用。
これもインデックスファンドでは取られないことがほとんど。 - 【最重要】運用管理費用(信託報酬)
保有している間、毎日引かれるコストです(表記は年率)。
保有額から一定割合で引かれます(保有額100万円、1%なら、信託報酬は毎年1万円) - その他の費用(隠れコスト)
目論見書には具体的な金額が載っておらず、決算後に出る『交付運用報告書』で初めて判明するコストです。
結構変動します。これの幅が広い投資信託は、信託報酬が低くても注意が必要です。
※利益にかかる税金(一律20.315%)のタイミング等もここに記載されています。
基本的には源泉徴収されるため、自分で確定申告する手間はかかりません。
【おまけ】不安な人に見てほしい『最大上昇率・下落率』

引用 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)『目論見書』
「良いインデックスファンドを選んで積立設定をしたら、あとは放置が一番効率的!」
頭ではそう分かっていても、暴落が来たりマイナスが出たりすると、ちょっとビビりますよね。
そんな時は、各証券会社の購入ページ(SBI証券や楽天証券など)に載っている『最大上昇率・下落率』のデータを一度チェックするのがおすすめ。
『騰落率』とは、一定期間でどのくらい値上がり・値下がりしたかを示す変化率です。
このファンドは、2020〜2025年の間では56.5%〜−5.6%の間で推移(年単位)してきたというのがわかります。
🔗SBI証券『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』
(※実際のページで「過去の最大下落率」などを確認してみましょう)
SBI証券のホームページ上では、1年間の中での騰落も確認できます。

「調子悪いと20%マイナスになることもあるんだな」というのがわかりますね。
『暴落が来たり株価の下落が起こった時は、過去このくらい下がったことがある』
『下落やマイナスがあったとしても数年後には回復、上昇した過去がある』
これらの事実を知っておくことで、一時の下落で運用を投げ出してしまわないようになる、強力なストッパー(心のブレーキ)となります。
まとめ:ファンドを知って、長期保有しよう
目論見書を読む目的は、長期投資を成功させることです。
途中で不安に駆られにくくするため
狼狽売りを避けるため
そのための基礎情報を手にいれるために、読む必要があります。
投資信託の目論見書は、隅々までしっかりと読破する必要はありません。
- 『自分が何に投資しているのか』を知るため
- いざという時に、不安に負けて投資を止めないため
このくらいの『お守り』のような温度感で、ぜひ一度、あなたが持っているファンドの目論見書をダウンロードして眺めてみてください。
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今回紹介した目論見書、騰落率の画像は、SBI証券のサイトから引用しています
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