【iDeCoの出口戦略】4つのシチュエーション別!一番おトクな「受け取りパターン」徹底解説【後編】

こんにちは!
前回はiDeCo(イデコ)を受け取るときの2つの控除(退職所得控除・公的年金等控除)について解説しました。

後編となる今回は、具体的に『どんな人が、どの受け取り方を選べば一番おトクになるのか』を、4つのシチュエーション別にバシッと解説します!

自分に最も近いスタイルを見つけて、出口戦略の参考にしてみてください。

iDeCo受け取り順の『ルール』

今回のお話の前提になるのがiDeCoを一時金受け取りする際の2つのルール『19年ルール』『10年ルール』です。

会社の退職金が別にある方で、iDeCoも一時金で受け取る場合、受け取る『順番』や『期間のあき具合』で控除額が大きく変わります。

① 19年ルール

『先に会社の退職金を受け取り、後にiDeCoを受け取る』場合のルール。

  • 退職金を受け取ってから、iDeCoを受け取るまでが19年以内だと、退職所得控除が調整(減額)されてしまう。
  • iDeCoの受け取りまで20年以上あいていれば、iDeCoの拠出期間に応じた退職所得控除がまるまる使える。

② 10年ルール

『先にiDeCoを受け取り、後に会社の退職金を受け取る』場合のルール。

  • iDeCoを受け取ってから、退職金を受け取るまでが10年未満だと、退職所得控除が調整(減額)されてしまう。
  • 退職金の受け取りまで10年以上あいていれば、会社の就業期間に応じた退職所得控除がまるまる使える。
  • ※以前は「5年ルール」でしたが、令和7年度の法改正により「10年」に延長されました。

シチュエーション1:60歳で『一時金(一括)』が向いている人

iDeCoの資産を指定した口座へ一回でドカンと振り込んでもらう方法です。以下のような方に特におすすめです。

  • 勤め先に退職金制度がない方
  • 60歳〜65歳までの生活資金(無収入期間)が心配な方
  • 【レアケース】会社の退職金を70歳以降に受け取る予定の方

【退職金なし】なら、非課税枠をフル活用できる!

前編でも話した通り、一時金でもらうと『退職所得控除』という特大の節税枠が使えます。

もし会社からの退職金がある場合、この非課税枠を分け合わなければなりませんが、『会社からの退職金がゼロ』の人は、iDeCoだけでこの非課税枠を独占できます。

『退職金が出ない会社であること』は、iDeCoの出口においては最大の強み なんです。

【60歳〜65歳が心配】なら、年金の『繰上げ』を防げる!

60歳で定年退職し、公的年金がもらえる65歳までの5年間を無収入で過ごす場合、どうにかして生活費を工面する必要があります。

選択肢としては大きく3つ。

  1. 貯金を取り崩す
  2. iDeCoを受け取る
  3. 国の年金の『繰上げ受給』を使う

貯金が足りない場合、iDeCoか繰上げ受給のどちらかに頼ることになりますが、もし繰上げ受給を選んでしまうと、年金が一生涯減額されるため、老後後半の生活が苦しくなるリスクがあります。
60歳でiDeCoを一時金として受け取り、この5年間の生活費に充てることができれば、公的年金を減らさずに65歳まで綺麗にバトンを繋ぐことができます。

【年金繰上げ受給の罠】

年金を1ヶ月早くもらうごとに、将来もらえる年金額が 0.4%(※法改正後の最新基準) 減額されます。最大60歳まで早めると一通りの受給額が24%も減り、その減額は生涯続きます。

一般的な損益分岐点は「81〜82歳」と言われており、これ以上長生きするとトータルで大損してしまいます。

シチュエーション2:60歳から『年金(分割)』が向いている人

定期的に一定額を分割で受け取る方法です。受け取りの期間や回数は、利用している金融機関によって異なります。

金融機関最長期間年間の受取回数
SBI証券最長20年年6回まで選択可
楽天証券最長20年年12回まで選択可

この方法は、以下のような方におすすめです。

  • 一括で受け取るとすぐ使い切ってしまいそうな方
  • 年金額が少ない方
  • 国の年金を『繰下げ受給』する予定の方

【注意】年金受け取りは『給付手数料』に気をつけろ

年金受け取りを選ぶとき、絶対に無視できないのが「給付手数料」です。

iDeCoは給付(振込)が発生するたびに、毎回440円(税込)の手数料が資産から差し引かれます。 「たった440円」と侮ってはいけません。
受取回数を多くしすぎると、トータルでこれだけの手数料が目減りしてしまいます。

  • SBI証券(年6回・20年):440円 × 6回 × 20年 = 52,800円
  • 楽天証券(年12回・20年):440円 × 12回 × 20年 = 105,600円

年金でもらう場合は、受取回数を許容できる『最小の回数(例:年6回や年4回など)』に設定して、手数料を最小限に抑えるのが鉄則です。

【厚生年金なし】なら、公的年金等控除を攻められる!

厚生年金がない自営業やフリーランスの方は、将来もらえる公的年金(国民年金のみ)の額が少なくなります。

その分、前編で解説した『公的年金等控除(65歳以上なら年110万円まで無税)』の枠が余っているため、iDeCoを年金で受け取っても税金がかかりにくくなっています。
(※ただし、自営業の方は退職金もないため、一時金受け取りでも退職所得控除がフルに効きます。どちらを利用するかはバランスを見て検討しましょう。)

【年金を繰下げする】なら、待機期間の生活費に最適!

国の年金制度には、受取を65歳より後ろにずらす(最大75歳まで)ことで、1ヶ月ごとに0.7%(最大84%)も受給額を増やせる『繰下げ受給』があります。

「60歳でリタイアし、国の年金は75歳まで繰り下げて爆増させたい。でもその間の生活費はどうする?」という時に、iDeCoを年金として切り崩していく戦略です。

この期間、国の年金は0円なので、iDeCoの年金受給にかかる税金も最小限(枠内なら非課税)に抑えられます。

※ただし、60歳以降も会社員として働きながら厚生年金に加入する場合、収入によって年金がカットされる『在職老齢年金』の仕組みに引っかかる可能性があるので、退職して完全フリーになる方向けのプランです。

シチュエーション3:75歳で『一時金(一括)』が向いている人

すぐにお金が必要なく、限界まで非課税の恩恵を受けたい人向けのプランです。

  • 75歳までの生活資金がすでに潤沢にある方
  • 55歳以前に会社を辞めて退職金をもらった方

運用指示を継続して、資産の最大化を狙う

iDeCoは60歳になると新しい掛金の積立(拠出)はできなくなりますが、『今ある資産の運用(指示)』は最長75歳まで継続できます。

つまり、75歳まで一切手をつけずに、非課税メリットを活かしたまま運用で増やし続けることができるのです。

55歳以前に退職金をもらった人も「2回目」が使える

先ほどの『受け取り順のルール』を思い出してください。

退職金 → iDeCo の順で受け取る場合、退職所得控除を満額使うには『20年』の間隔が必要です。

もし55歳のときに会社から退職金をもらっていた場合、そこから20年後は『75歳』。
iDeCo受け取り期限である75歳までiDeCoの受取を我慢すれば、ここでも退職所得控除をフル活用できます。

【例①】
・iDeCo:35歳〜65歳まで掛金拠出、75歳受取
・退職金:55歳に受け取る

iDeCoの控除額:800+70(30−20)=1500万円

【例②】
・iDeCo:35歳〜65歳まで掛金拠出、60歳受取
・退職金:55歳に受け取る

iDeCoの控除額:40×5=200万円

シチュエーション4:60〜75歳の間で『臨機応変に一時金』で受け取る人

  • 60歳になったまさにその瞬間、株価が大暴落している方

これは、すべてのインデックス投資家が頭に叩き込んでおくべき最強のディフェンス策です。

「よし、60歳になったからiDeCoを全額引き出して老後を楽しもう!」と思った矢先、リーマンショック級の大暴落が起きて資産が目減りしてしまったら……絶望しますよね。

しかし、慌てて売却してはいけません。
過去の歴史が示す通り、株価は上下を繰り返しながらも、長期的に右肩上がりに成長してきました。
60歳時点で暴落に見舞われていたら、潔く受給を遅らせましょう。

iDeCoは60歳から75歳までの15年間、いつでも好きなタイミングで受取申請ができます。(掛金の拠出は最長65歳までですが、運用だけなら75歳まで行えます。※国民年金被保険者であることなど要件あり)

15年という時間があれば、暴落した市場が回復して最高値を更新する見込みは十分にあります。

『待つのも投資』です。

まとめ:出口戦略がiDeCoのカギ

新しく投資を始めるとき、私たちはどうしても以下のステップに気を取られがちです。

  1. 投資の目的を決める(例:老後資金)
  2. 目的に合った手段を選ぶ(例:インデックス投資)
  3. 掛金を捻出する(例:節約や家計の見直し)
  4. 長期で見守る(例:途中でやめない)

しかし、最後に最も重要なのが、今回テーマにした『5. どうやって取り崩すか(出口戦略)』です。

運用益が非課税になるNISAと違い、iDeCoは受け取りの際に『出口で税金がかかる』仕組みです。
ゴール直前で慌てないために、そして「せっかく長年貯めたのに税金や手数料で大損した!」なんて事態を防ぐために、50代に入ったら『自分ならどう受け取るか』を少しずつ検討しておきましょう。

出口が見えている投資は、日々の暴落への不安を極限まで減らしてくれますよ!

【iDeCoの公式情報はこちら→iDeCo公式サイト

【そもそもiDeCoってどう始めるの?という方はこちら】
👉 初心者でも迷わない!加入のステップ完全ガイド

【iDeCoの制度をカンタンに知りたいと言う方はこちら】
👉 《節税モリモリの超お得制度!自分年金< iDeCo >の基本をカンタン解説》

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