【第2回】薬剤師が知っておくべき『リスク資産の付き合い方』

預金だけではお金が目減りする時代
次に考えるべきは『リスク資産』

前回の記事でお伝えしたように、インフレ時代では“貯金だけ”ではお金の価値が目減りしてしまいます
そのため、次に大切なのが株や債権、投資信託などの『リスク資産』とどう付き合うかです

リスク資産という言葉には「怖い」「ギャンブルっぽい」というイメージを持つ方も多いかもしれません
しかし、正しく理解し、時間を味方につければ、”お金がお金を増やしていく”老後資産を作る大きな手助けとなります

リスク資産とは?──“値動き”がある資産のこと

リスク資産とは、価格が上下する(=値動きがある)資産のこと
代表的なものには次のような種類があります

資産の種類特徴リスクの大きさ用途・向いてる人
株式企業の成長とともに値上がりが期待できる成長を取り込みたい人
株について調べるのが好きな人
投資信託複数の株や債券に分散投資できる忙しい人
投資初心者向き
債券(国債・社債)金利収入が得られる。比較的安定中〜小安全資産
高齢の人
REIT(不動産投信)不動産からの家賃収入・値上がり益を得る分散投資の一つに
分配金目的に

薬剤師の方は、仕事で時間を取りづらい分

『投資信託を中心に分散投資』

というスタイルが非常に向いています

インフレに強いのは“モノに価値がある資産”

お金の価値が下がるインフレ下では、モノの価値を持つ資産(株式・不動産など)が強い傾向にあります

政府は、物価上昇率2%を目標にしています
現金や預金だけでは、物価上昇に追いつけません(預金金利は0.1〜0.5%)

たとえば、インフレ率2%のとき、年間3〜4%の利回りで運用していれば、
物価上昇に負けない『実質的な資産価値』を保ちながら増やすことができます

リスクを恐れないための3原則

リスクを恐れるのは、自分のリスク許容度を超えるリスクを抱えるから

手法や分散投資でリスクを抑えることができます

①分散

投資先を分散することでリスクを抑えられます

1つの銘柄・国・資産に偏らないように投資先を分ける
たとえば、[国内株30%・外国株30%・債券40%]など

国:日本、アメリカ、ヨーロッパ、先進国、新興国 等
資産:株、債権、コモディティ、金、原油、不動産 等

② 積立

購入時期を分散することでリスクを抑えられます

一括投資ではなく、毎月一定額をコツコツ積み立てることで、価格の高い時も安い時も平均化できます
いわゆる積立投資です

③ 長期

保有期間を長期にすることで、リスクを抑えられます

どんな投資商品も、短期間では値動きが大きいです
ところが長期間で見てみると、値動きの波は気にならなくなります

引用 Google S&P500

短期の値動きに振り回されず、10年・20年スパンで持ち続けることが重要です
時間が“リスクの波”をならしてくれます

新NISAとiDeCoの上手な使い分け

● 新NISA:いつでも引き出せる自由度の高い制度

2024年から制度が刷新され、非課税期間が無期限になりました

NISAは、投資の運用益が非課税になる制度
50代からでも使いやすい制度です

【こんな方へおすすめ】
・老後資金を資産運用で増やしたい方
・取り崩し可能な運用がしたい方
・長期間の運用をしたい方

新NISAの要点をカンタンに解説!

● iDeCo:老後専用の“年金口座”

掛金が全額所得控除になるので、節税効果が非常に高い制度です

たとえば、年収500万円・課税所得400万円の方が月2万円をiDeCoに拠出すると、
年間で約4〜5万円の節税になります

NISAと比べ上限額が低いこと、60歳まで引き出せない点には注意
積み立てて『老後資金の土台をつくる』目的で利用します

節税効果はバツグン!iDeCoの解説記事です

“薬剤師“ のリスク資産との向き合い方

薬剤師はどのようにしてリスク資産と向き合ったらいいか?

  • リスクはほどほどに、投資額も控えめに
  • なるべく早く投資を始める
  • 取り崩しは遅らせる

薬剤師の置かれる環境

我々薬剤師の、今の環境は

  • 若い時から比較的高収入
  • 収入は安定的
  • 収入の頭打ちが早い
  • 転職がしやすい
  • 高齢になっても働きやすい
  • 拘束時間が長い

この特徴をリスク資産との向き合いに落とし込みます

どのように投資したらいいか?

リスク資産との向き合い方=どうやって投資したらいいか?

❶リスクはほどほどに
薬剤師は、収入も雇用状況も安定的です
過剰なリスクを取らなくても老後資金を作りやすいので、高いリスクの投資を利用する必要がありません
投資額は全資産の半分以下に抑えておくと安心です

❷なるべく早く投資を始める
近年は新卒の年収額が上がっています
新卒界隈では比較的収入が高い方です
年収が高いということは、投資を始める余力があるということ
資産運用は長期間行うほど加速度的に増えていきます
なるべく早く、可能なら1年目から投資を始めましょう

❸取り崩しは遅らせる
薬剤師は高齢になっても現役でいられるのが強み
働いている間は、投資の取り崩しは行わないようにしましょう
つみたて投資は長く運用するほど増えやすいです
可能なら70歳、75歳まで働いて、退職まで運用を続けましょう

薬剤師は昼休みも拘束されることが多い職種です
投資に割く時間を取ることが難しい方も多いでしょう

投資信託のつみたて投資は、時間がない方でも始められる最高の投資手法の一つです

どんな投資信託が良い?これ一本でもOK! 投資始めての方向け記事

リスクとどう向き合うか:最終的には『目的次第』

「何のために運用するのか?」をはっきりさせることで、リスク許容度が決まります

  • 老後資金を作りたい → 中リスク・中リターン(NISA・iDeCo)
  • 教育資金を準備したい → 低リスク中心(債券型投信、個人向け国債など)
  • 趣味資金を増やしたい → 少額で高リスク投資もOK

大切なのは、自分の資産全体の中でのバランスです
目的にたどり着くためのツールが投資です
投資に突っ込みすぎて生活を崩すのも避けたいですし、安全とりすぎて老後資金が足りなくなるのも避けたいところです

シミュレーションなどを通して、ちょうどいい投資になるよう心がけましょう

そして、資産の全額を投資に回すのではなく、“生活資金”と“運用資金”は分けて管理しましょう

資産運用は、自分がどれくらいのリスクに耐えられるかが大事です
リスク許容度についての解説はこちらから

【まとめ】リスクを避けるより『理解して味方に』

リスクを完全に避けることはできません
しかし、リスクを理解し、コントロールすれば怖いものではなくなります

  • すべてを預金にするのもリスク
  • すべてを投資にするのもリスク
  • 大切なのは“自分の生活に合ったバランス”

50代からでも、長期・分散・積立を意識すれば、
老後までの10年〜15年で資産を安定的に育てることができます

引用 NISA特設ウェブサイト つみたてシミュレーター

月々5万円の積立、年率5%リターンの投資信託を15年継続したら・・・運用総額は1324万円になります
50歳〜65歳までの運用でも、資産は成長できる可能性があります


次回(第3回)予告

いよいよ最終回では、『60歳からの資産運用』をテーマに、
退職後の資産を“減らさず上手に使う”方法を解説します
資産を守るフェーズの『取り崩し戦略』や『出口設計』を中心にお届けします

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