預金だけではお金が目減りする時代
次に考えるべきは『リスク資産』
前回の記事でお伝えしたように、インフレ時代では“貯金だけ”ではお金の価値が目減りしてしまいます
そのため、次に大切なのが株や債権、投資信託などの『リスク資産』とどう付き合うかです
リスク資産という言葉には「怖い」「ギャンブルっぽい」というイメージを持つ方も多いかもしれません
しかし、正しく理解し、時間を味方につければ、”お金がお金を増やしていく”老後資産を作る大きな手助けとなります
リスク資産とは?──“値動き”がある資産のこと
リスク資産とは、価格が上下する(=値動きがある)資産のこと
代表的なものには次のような種類があります
| 資産の種類 | 特徴 | リスクの大きさ | 用途・向いてる人 |
|---|---|---|---|
| 株式 | 企業の成長とともに値上がりが期待できる | 大 | 成長を取り込みたい人 株について調べるのが好きな人 |
| 投資信託 | 複数の株や債券に分散投資できる | 中 | 忙しい人 投資初心者向き |
| 債券(国債・社債) | 金利収入が得られる。比較的安定 | 中〜小 | 安全資産 高齢の人 |
| REIT(不動産投信) | 不動産からの家賃収入・値上がり益を得る | 中 | 分散投資の一つに 分配金目的に |
薬剤師の方は、仕事で時間を取りづらい分
『投資信託を中心に分散投資』
というスタイルが非常に向いています
インフレに強いのは“モノに価値がある資産”
お金の価値が下がるインフレ下では、モノの価値を持つ資産(株式・不動産など)が強い傾向にあります
政府は、物価上昇率2%を目標にしています
現金や預金だけでは、物価上昇に追いつけません(預金金利は0.1〜0.5%)
たとえば、インフレ率2%のとき、年間3〜4%の利回りで運用していれば、
物価上昇に負けない『実質的な資産価値』を保ちながら増やすことができます
リスクを恐れないための3原則
リスクを恐れるのは、自分のリスク許容度を超えるリスクを抱えるから
手法や分散投資でリスクを抑えることができます
①分散
投資先を分散することでリスクを抑えられます
1つの銘柄・国・資産に偏らないように投資先を分ける
たとえば、[国内株30%・外国株30%・債券40%]など
国:日本、アメリカ、ヨーロッパ、先進国、新興国 等
資産:株、債権、コモディティ、金、原油、不動産 等
② 積立
購入時期を分散することでリスクを抑えられます
一括投資ではなく、毎月一定額をコツコツ積み立てることで、価格の高い時も安い時も平均化できます
いわゆる積立投資です
③ 長期
保有期間を長期にすることで、リスクを抑えられます
どんな投資商品も、短期間では値動きが大きいです
ところが長期間で見てみると、値動きの波は気にならなくなります

短期の値動きに振り回されず、10年・20年スパンで持ち続けることが重要です
時間が“リスクの波”をならしてくれます
新NISAとiDeCoの上手な使い分け
● 新NISA:いつでも引き出せる自由度の高い制度
2024年から制度が刷新され、非課税期間が無期限になりました
NISAは、投資の運用益が非課税になる制度
50代からでも使いやすい制度です
【こんな方へおすすめ】
・老後資金を資産運用で増やしたい方
・取り崩し可能な運用がしたい方
・長期間の運用をしたい方
● iDeCo:老後専用の“年金口座”
掛金が全額所得控除になるので、節税効果が非常に高い制度です
たとえば、年収500万円・課税所得400万円の方が月2万円をiDeCoに拠出すると、
年間で約4〜5万円の節税になります
NISAと比べ上限額が低いこと、60歳まで引き出せない点には注意
積み立てて『老後資金の土台をつくる』目的で利用します
“薬剤師“ のリスク資産との向き合い方
薬剤師はどのようにしてリスク資産と向き合ったらいいか?
- リスクはほどほどに、投資額も控えめに
- なるべく早く投資を始める
- 取り崩しは遅らせる
薬剤師の置かれる環境
我々薬剤師の、今の環境は
- 若い時から比較的高収入
- 収入は安定的
- 収入の頭打ちが早い
- 転職がしやすい
- 高齢になっても働きやすい
- 拘束時間が長い
この特徴をリスク資産との向き合いに落とし込みます
どのように投資したらいいか?
リスク資産との向き合い方=どうやって投資したらいいか?
❶リスクはほどほどに
薬剤師は、収入も雇用状況も安定的です
過剰なリスクを取らなくても老後資金を作りやすいので、高いリスクの投資を利用する必要がありません
投資額は全資産の半分以下に抑えておくと安心です
❷なるべく早く投資を始める
近年は新卒の年収額が上がっています
新卒界隈では比較的収入が高い方です
年収が高いということは、投資を始める余力があるということ
資産運用は長期間行うほど加速度的に増えていきます
なるべく早く、可能なら1年目から投資を始めましょう
❸取り崩しは遅らせる
薬剤師は高齢になっても現役でいられるのが強み
働いている間は、投資の取り崩しは行わないようにしましょう
つみたて投資は長く運用するほど増えやすいです
可能なら70歳、75歳まで働いて、退職まで運用を続けましょう
薬剤師は昼休みも拘束されることが多い職種です
投資に割く時間を取ることが難しい方も多いでしょう
投資信託のつみたて投資は、時間がない方でも始められる最高の投資手法の一つです
リスクとどう向き合うか:最終的には『目的次第』
「何のために運用するのか?」をはっきりさせることで、リスク許容度が決まります
- 老後資金を作りたい → 中リスク・中リターン(NISA・iDeCo)
- 教育資金を準備したい → 低リスク中心(債券型投信、個人向け国債など)
- 趣味資金を増やしたい → 少額で高リスク投資もOK
大切なのは、自分の資産全体の中でのバランスです
目的にたどり着くためのツールが投資です
投資に突っ込みすぎて生活を崩すのも避けたいですし、安全とりすぎて老後資金が足りなくなるのも避けたいところです
シミュレーションなどを通して、ちょうどいい投資になるよう心がけましょう
そして、資産の全額を投資に回すのではなく、“生活資金”と“運用資金”は分けて管理しましょう
リスク許容度についての解説はこちらから
【まとめ】リスクを避けるより『理解して味方に』
リスクを完全に避けることはできません
しかし、リスクを理解し、コントロールすれば怖いものではなくなります
- すべてを預金にするのもリスク
- すべてを投資にするのもリスク
- 大切なのは“自分の生活に合ったバランス”
50代からでも、長期・分散・積立を意識すれば、
老後までの10年〜15年で資産を安定的に育てることができます

月々5万円の積立、年率5%リターンの投資信託を15年継続したら・・・運用総額は1324万円になります
50歳〜65歳までの運用でも、資産は成長できる可能性があります
次回(第3回)予告
いよいよ最終回では、『60歳からの資産運用』をテーマに、
退職後の資産を“減らさず上手に使う”方法を解説します
資産を守るフェーズの『取り崩し戦略』や『出口設計』を中心にお届けします
家計の処方箋はアフィリエイトで報酬を得ています
にほんブログ村
にほんブログ村のランキングに参加してます
クリックでのご協力、応援よろしくお願いします






コメント